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相続発生時に子どもが存命の場合、その直系の子孫である孫は相続人にはなれません。相続人以外に「相続させる」ことはできませんが、孫に相続させる遺言を遺すことはできないのでしょうか?
原則として、孫に相続させることはできませんが、孫に相続させることができる場合もあります。また、孫に「相続」させることはできない場合でも、孫に「遺贈」することはできます。
孫を養子にする
既に亡くなっている子どもの子どもである孫に相続させる
孫に遺贈する
「孫に継がせる」等の表現を使う
予備的遺言で孫に相続させる
※民事信託(家族信託)を利用する
孫を養子にした場合、その孫に相続させる遺言を残すことができます。
孫を養子にすると、その孫は、孫であると同時に子どもにもなるからです。そして、子どもに「相続させる」ことができるのは言うまでもないからです。
相続税の控除との関係では、養子にできるのは1名のみですが、縁組意思さえあれば、養子にする孫の数に制限はありません。
なお、相続税対策のために養子縁組をした場合、縁組意思があるのかが問題となり得ますが、最高裁は、次のように判示し、相続税の節税のために養子縁組をするときでも、そのことだけをもって縁組意思がないと判断することはできないとしています。
つまり、節税対策のためだけの養子縁組であっても、そのことだけを理由に無効にはなる訳ではないというのが判例の立場ということになります。
平成29年1月31日 最高裁第三小法廷本判決(民集第71巻1号48頁)
専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。
遺言を遺す時点で、既にお子さんが亡くなっている場合、亡くなったお子さんの子である孫に相続させる遺言を遺すことができます。
このような場合には、代襲相続が発生し、孫が子を代襲して相続人になるからです。そして、(推定)相続人に対しては、「相続させる」遺言ができることは言うまでもないです。
ただ、これは、お子さんが亡くなっているという既に生じている事実を利用して遺言を遺すというだけであって、意図的にこのような状況を作り出すことはできないので、注意が必要です(子を廃除すれば、意図的に作り出すことはできるかもしれませんが、少なくとも、子どもを飛ばして孫に相続させるために子を廃除するというのは、あまり現実的ではないと思います)。
この方法は、ご自身よりもお子さんが先に亡くなっており、お孫さんを跡取りにしたいような場合に利用できますが、お子さんを飛ばしてお孫さんに「相続させる」ことはできません。
孫は原則として相続人(推定相続人)ではありませんが、推定相続人以外にも、財産を遺贈することはできます。
遺贈をする場合、遺言執行者を選任しておくことを強くお勧めします。そうしないと、相続人全員の協力がないと遺言の執行(遺言内容の実現)が難しくなる可能性があるからです。
なお、孫に遺贈をする場合、受遺者となるお孫さんか遺言作成に関わった専門家が遺言執行者になることが多いと思います。
余談ですが、孫を養子にした場合で、ご自身よりも子(養子にした孫の親)が先になくなっている場合、その孫は、養子である当時に、子の代襲相続人になります。
このような場合、養子として相続権を有するとともに、代襲相続人としても相続権を有することになります。いわば、二重の資格で相続人(推定相続人)になるのです。
人間は生まれた順番に亡くなるとは限りません。だとするなら、せっかく遺言を残しても、相続させようと思った相手のほうが遺言者よりも先に亡くなってしまうようなこともあり得ます。
このような場合に備えて、「Aに相続させる。ただし、遺言者よりもAが先に亡くなった場合には、Aが先の子であるBに相続させる」というような遺言を残すことができます。
こうした遺言を予備的遺言と呼びます。
予備的遺言を使えば、「孫に相続させる」という文言を遺言に残すことができますが、これは、あくまで、子であるAが亡くなった場合だけ、Bが相続するというだけで、この遺言をもって、子供を飛ばして孫に相続させることはできないので注意が必要です。
民事信託(家族信託)を使って、孫に相続させる(のと同じ効果をもたらす)こともできます。
民事信託の場合、受益者を誰にするかで、直接孫に財産を引き継ぐこともできるし、まずは子に引き継がせ、その後、孫に引き継がせるようなこともできます。
後者は、「後継遺贈型」と呼ばれるもので、遺言では実現することは難しいですが、民事信託であれば、受益者を連続させることで、後継遺贈型の民事信託を作ることができます。
後継遺贈型の遺言について、判例は、正面からは否定も肯定もしていないものと思われます。少なくとも、無効とは言っていないことは確かです。
一方、学説上は、後継遺型の遺言を消極とする見解のほうが有力であるように思いますが、積極説も無視できないように思います。
「後継遺贈型の遺言は無効である」というように断言はできませんが、無効となる可能性が一定程度ある以上、遺言が無効になってしまうリスクを考え、遺言のかたちで後継遺贈を実現させようとすることは控えた方がよいと思います(そのようなご依頼があった場合、当相談室では、民事信託等他の手段をおすすめすることになります)。
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