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ライフステージ4分割思考について

  • 1
    第Ⅰ期 特に困難のない時期
  • 2
    第Ⅱ期 生活上の支障増大期
  • 3
    第Ⅲ期 判断能力低下期
  • 4
    第Ⅳ期 相続発生後

ライフステージ4分割思考とは

 従来は、相続や遺言、後見等の問題を考える際して、「人生」というものを考えるとき、多くの場合は、単純に、生前・死後という二つのステージに分けて考えていたのではないかと思います。

  しかし、そのような従来型の考えは、今では通用しなくなっているのではないでしょうか。

 なぜかというと、社会の大きな変化、いわゆる高齢会社会が到来しており、齢を取ることで、体が不自由になったり、認知症になったりという、いわゆる「長生きのリスク」が生じるようになったわけです。

 そういったリスクに対処していくためには、今まで「生前」でくくられていた時期を、3つに分けて考える必要が出てきたのではないかというのが我々の考えのスタートラインになります。

  具体的には、

第Ⅰ期 特に困難のない時期

第Ⅱ期 生活上の支障増大期(身体の自由がきかなくなってくる時期、あるいは意思能力が欠け始める時期)

第Ⅲ期 判断能力低下期(認知症により日常生活が困難になり、意思能力が欠けてしまう時期)

 の3つに分ける必要があると思うのです。

 第Ⅳ期の死後(相続発生後)と併せて、合計4期、ライフステージを4つに分けて考えましょうというのが我々のご提案になります。

 

第Ⅲ期になってしまうと生前対策は不可能になる

 まずは、第Ⅲ期について考えてみたいと思います。この第Ⅲ期は、判断能力低下する時期、具体的には、認知症により日常生活が困難になる時期になります。法律行為を行う上では、意思能力が欠けてしまい法律行為を行うのが困難になる時期でもあります。

 第Ⅲ期になると、相続の面でいうと、遺言であったり、民事信託といった生前の相続対策が困難になります。遺言をしようと思っても遺言能力が欠けていたり、民事信託や死因贈与のような契約をしようにも契約締結能力が欠けているからです。

 仮に、遺言や各種契約が出来たとしても、この時期になされた遺言や契約は遺言能力や意思能力が欠けていたという理由で無効を主張されるリスクがあり、その意味で紛争の火種を作ってしまう面があり、危険な側面があることは否定できません。

 あるいは、後見分野で考えてみても、この時期になると、任意後見であったり、後見の代用としての民事信託であったりの利用も困難になってきます。任意後見や民事信託も契約であり、契約をするためには、契約を締結することができるだけの判断能力が必要だからです。

 このように、第Ⅲ期になると、相続の生前対策や任意後見、民事信託との認知症対策はもはやできないか、できるとしても行うことで却ってトラブルを生む可能性が生じることになります。

 従って、相続の生前対策や任意後見等は第Ⅲ期になる前に行うべきであると思うのです。これが、従来「生前」でひとくくりにされていたものを三つのステージに分ける理由でもあるのです。

第Ⅰ期及び第Ⅱ期にしておくべきこと

 このように、第Ⅲ期になってしまうと、もはや相続や後見に関して何か対策をするということは非常に困難になってしまいます。そこでその前である、第Ⅰ期や第Ⅱ期に何をしておくべきでしょうか?

 まず、何もしないという選択もあります。

 何もしなければ、後見について言えば、ご家族がいれば、ご家族が身上監護面をになったり、事実上の財産管理をすることも可能かもしれません。ご家族がそうしたことをするのが難しいという場合やご家族がいない場合には、必要に応じて法定後見がスタートする可能性がありますが、それを理解したうえで、法定後見を選択するのであれば、それも一つの選択だと思います。

 また、相続の分野について、特に何もしなければ、財産の帰属は、相続人間の遺産分割協議に委ねられることになります。これもまた、自分の亡くなった後のことは相続人たちに任せるというのも一つの選択であり、否定すべきものではないと思います。

 結局のところ、認知症になって以降に自分の意思・意向・希望をどれだけ反映させるか、自分の死後に自分の財産がどうなるかについて自分の意思・意向・希望をどれだけ反映させるかということになるのではないでしょうか。

 反映させたいということであれば、第Ⅲ期になる前に何らかの準備をしておく必要がありますが、特に反映させなくてもいいという場合には特に何もしなくても問題ないと思います。

 

 それを前提に、認知症後、あるいは死後にご自身の意思を反映させたい場合に、第Ⅱ期や第Ⅲ期のうちに何をしておくべきなのかを考えていきたいと思います。

①任意後見契約

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